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2022. 8.21 礼拝メッセージ:金子辰己雄師

聖書箇所】

 ヨシュア13:1~7


【タイトル】

 ヨシュア記(19)「残された占領すべき地①」


【本論】

Ⅴ1:「ヨシュアは年を重ねて老人になった。【主】は彼に仰せられた。「あなたは年を重ね、老人になったが、まだ占領すべき地がたくさん残っている。


 「ヨシュアは年を重ねて老人になった。」というが、この時のヨシュアの年齢は聖書中に出て来ないのではっきりとは分からないが、ユダヤ人の歴史家で、AD1世紀に、ローマとの戦いの顛末を「ユダヤ戦記」として残したフラウィウス・ヨセフォスによると、ヨシュアがモーセから民の指導者として、カナンの地に入る前に、その後継の務めを受けた(民数記27:12~23、申命記31:7~23)のが85歳だと言うから、そこから見ると、下表のカレブの年齢変化から、この時ヨシュアは凡そ92歳ではなかったかと考えられる。

 上記の表はヨシュア14:6~10に基づく。


ヨシュア14:6~10:「【主】のしもべモーセがこの地を偵察するために、私をカデシュ・バルネアから遣わしたとき、私は四十歳でした。そのとき、私は自分の心の中にあるとおりを彼に報告しました。14:8 私といっしょに上って行った私の身内の者たちは、民の心をくじいたのですが、私は私の神、【主】に従い通しました。14:9 そこでその日、モーセは誓って、『あなたの足が踏み行く地は、必ず永久に、あなたとあなたの子孫の相続地となる。あなたが、私の神、【主】に従い通したからである。』と言いました。14:10 今、ご覧のとおり、【主】がこのことばをモーセに告げられた時からこのかた、イスラエルが荒野を歩いた四十五年間、【主】は約束されたとおりに、私を生きながらえさせてくださいました。今や私は、きょうでもう八十五歳になります。


 いずれにしろ、モーセからカナンの地所有の後継の任を受け、イスラエルの民と共にヨルダン川を越え、カナンの地を征服するという大変な働きを為し終えたヨシュアに対して、主は、「あなたは年を重ね、老人になったが、まだ占領すべき地がたくさん残っている。」と言い、そして、実際にその地を示したのである。


Ⅴ2~Ⅴ6a:「その残っている地は次のとおりである。ペリシテ人の全地域、ゲシュル人の全土、13:3 エジプトの東のシホルから、北方のカナン人のものとみなされているエクロンの国境まで、ペリシテ人の五人の領主、ガザ人、アシュドデ人、アシュケロン人、ガテ人、エクロン人の地、それに南のアビム人の地、13:4 カナン人の全土、シドン人のメアラからエモリ人の国境のアフェクまでの地。13:5 また、ヘルモン山のふもとのバアル・ガドから、レボ・ハマテまでのゲバル人の地、およびレバノンの東側全部。13:6 レバノンからミスレフォテ・マイムまでの山地のすべての住民、すなわちシドン人の全部。


 ここにあるように、確かに海沿いの地を中心にしたこれらの地域は、10章で語られていた攻略された南半分の地域や11章で語られていた北半分の地域以外の所である。だから確かに、まだカナンの地の全域がイスラエルによって征服されていたわけではなかった。

◎ここで疑問として浮かぶのは、では「何故、神は占領すべき地を残されたのか?」である。初めから、これらの海沿いの地も含めて、南から北までカナンの地の全域を征服させ、それから各部族に分割すればよいものを、どうしてだったのだろうか?―その答えは、聖書中にある。続けてⅤ6bから後半を見てみよう。


Ⅴ6b~Ⅴ7:「わたしは彼らをイスラエル人の前から追い払おうわたしが命じたとおりに、ただあなたはその地をイスラエルに相続地としてくじで分けよ。13:7 今、あなたはこの地を、九つの部族と、マナセの半部族とに、相続地として割り当てよ。


 ヨルダン川の東、モアブ、ギルアデ、バシャンの地は、モーセが既にガド部族、ルベン部族、マナセの半部族に分け与えていたので、ヨシュアに対しては、主は、ヨルダン川の西のカナンの地を、残りの9つの部族とマナセの半部族に分け与えるなら、その分割された相続地にいるカナンの民をそこから追い払おう、と言うのである。


そう!これが、まだ占領すべき地が残されていた理由だったもっと言うなら、この残されていた地だけでなく、これまで彼らが自分たちの力で勝ち取って来たと思っていたカナンの地の南から北まで、実は初めから、神ご自身の手によってイスラエルの民に相続地として与えられるべく備えられていた地だったのである。カナンの地のすべては、確かにイスラエルの民は戦ったが、神によってイスラエルの民に相続地として与えられるように備えられていた地、恵みによって与えられる地だったのである。


 皆さん、覚えているだろうか?イスラエルによるエリコの町の不思議な方法で陥落させるための攻撃を始める前にヨシュアに現れた主の軍の御使い、将を。


ヨシュア5:13~15:「さて、ヨシュアがエリコの近くにいたとき、彼が目を上げて見ると、見よ、ひとりの人が抜き身の剣を手に持って、彼の前方に立っていた。ヨシュアはその人のところへ行って、言った。『あなたは、私たちの味方ですか。それとも私たちの敵なのですか。』5:14 すると彼は言った。『いや、わたしは【主】の軍の将として、今、来たのだ。』そこで、ヨシュアは顔を地につけて伏し拝み、彼に言った。『わが主は、何をそのしもべに告げられるのですか。』5:15 すると、【主】の軍の将はヨシュアに言った。『あなたの足のはきものを脱げ。あなたの立っている場所は聖なる所である。』そこで、ヨシュアはそのようにした。


 これは主御自身が抜身の剣をもって先頭に立って戦われることを示したこと。何故なら、この地は初めから神が選び、神がアブラハム、アブラハムの子孫、イスラエルに相続地として与えるべく選んでいた地だったからである。しかし、それには時が必要であった。神によって裁かれるべく、悪がこの地に満ちなければならなかった。神はアブラハム(アブラム)を義とした後、彼と不思議な方法で契約を結び、カナンの地をアブラハムの所有として与える約束をした時、彼にこう言った。


創世記15:13~16:「そこで、アブラムに仰せがあった。『あなたはこの事をよく知っていなさい。あなたの子孫は、自分たちのものでない国で寄留者となり、彼らは奴隷とされ、四百年の間、苦しめられよう。15:14 しかし、彼らの仕えるその国民を、わたしがさばき、その後、彼らは多くの財産を持って、そこから出て来るようになる。15:15 あなた自身は、平安のうちに、あなたの先祖のもとに行き、長寿を全うして葬られよう。15:16 そして、四代目の者たちが、ここに戻って来る。それはエモリ人の咎が、そのときまでに満ちることはないからである。そして、四代目の者たちが、ここに戻って来る。それはエモリ人の咎が、そのときまでに満ちることはないからである。』


 つまり、時が満ちたから、神はモーセを遣わし、エジプトからイスラエルの民を引出し、荒野での40年の生活の後、カナンの地に向かわせ、そして、相続地として与えたのである。

※カナンの地は、モーセが神によってエジプトに遣わされた時から、否、アブラハムがカナンの地を相続する者として神によって選ばれた時から、既に神は計画をもって、カナンの地を神の民への相続地として与えることを、それも、アブラハムやモーセや人間側の条件に拘わらず、ご自身によって恵みとして与えることを定められていた。それが、カナンの地を征服し終わった後にも、占領すべき地が残されていた理由です。


◎これは何を意味するのか?―それは、イスラエルの民にとって所有地を相続することも、また、私たちにとって、カナンの地の生活を送るという信仰生活を送るということも、どちらも、ただただ絶対的に神の恵みによることなのであると言うことである。人間側の資格とか権利とか、力とか知恵によるものではなく、神の恵みによるものだということである。モーセはそのことを、イスラエルの民がカナンの地に入る前に、申命記9章で次のように言っていた。


申命記9:1~5:「聞きなさい。イスラエル。あなたはきょう、ヨルダンを渡って、あなたよりも大きくて強い国々を占領しようとしている。その町々は大きく、城壁は天に高くそびえている。9:2 その民は大きくて背が高く、あなたの知っているアナク人である。あなたは聞いた。『だれがアナク人に立ち向かうことができようか。』9:3 きょう、知りなさい。あなたの神、【主】ご自身が、焼き尽くす火として、あなたの前に進まれ、主が彼らを根絶やしにされる。主があなたの前で彼らを征服される。あなたは、【主】が約束されたように、彼らをただちに追い払って、滅ぼすのだ。9:4 あなたの神、【主】が、あなたの前から彼らを追い出されたとき、あなたは心の中で、『私が正しいから、【主】が私にこの地を得させてくださったのだ。』と言ってはならない。これらの国々が悪いために、【主】はあなたの前から彼らを追い出そうとしておられるのだ。9:5 あなたが彼らの地を所有することのできるのは、あなたが正しいからではなく、またあなたの心がまっすぐだからでもない。それは、これらの国々が悪いために、あなたの神、【主】が、あなたの前から彼らを追い出そうとしておられるのだ。また、【主】があなたの先祖、アブラハム、イサク、ヤコブになさった誓いを果たすためである。


 そして、カナンの地からカナンの人々が追い出される時、神はそれを一変にやってしまうのではなく、まだ占領すべき地が残されていたように、彼らの、また私たちの信仰の成長に合わせるかのように、徐々にやって下さると言った。


出エジ23:23~30:「わたしの使いがあなたの前を行き、あなたをエモリ人、ヘテ人、ペリジ人、カナン人、ヒビ人、エブス人のところに導き行くとき、わたしは彼らを消し去ろう。23:24 あなたは彼らの神々を拝んではならない。仕えてはならない。また、彼らの風習にならってはならない。これらを徹底的に打ちこわし、その石の柱を粉々に打ち砕かなければならない。23:25 あなたがたの神、【主】に仕えなさい。主はあなたのパンと水を祝福してくださる。わたしはあなたの間から病気を除き去ろう。23:26 あなたの国のうちには流産する者も、不妊の者もいなくなり、わたしはあなたの日数を満たそう。23:27 わたしは、わたしへの恐れをあなたの先に遣わし、あなたがそこに入って行く民のすべてをかき乱し、あなたのすべての敵があなたに背を見せるようにしよう。23:28 わたしは、また、くまばちをあなたの先に遣わそう。これが、ヒビ人、カナン人、ヘテ人を、あなたの前から追い払おう。23:29 しかし、わたしは彼らを一年のうちに、あなたの前から追い払うのではない。土地が荒れ果て、野の獣が増して、あなたを害することのないためである。23:30 あなたがふえ広がって、この地を相続地とするようになるまで、わたしは徐々に彼らをあなたの前から追い払おう。」


【結論】

これを、私たちのカナンの地での生活、即ち、クリスチャン生活、教会生活、信仰生活に適用して言うなら、神様は私たちに何を求めて、このことを言われるのだろうか?―それは、いつも変わることのないメッセージだが、神の恵みへの感謝と、神への信仰と従順である。「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべてのことについて、感謝しなさい。」(Ⅰテサロニケ5:16~18)とあるように、また、「信仰の創始者であり、完成者であるイエスから目を離さないでいなさい。」(ヘブル12:2a)とあるようにである。


―祈り―

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